飼い主さまにとって犬は大切な家族の一員です。
犬が健康でいられるように、害のある食べ物や製品を正しく把握し、与えないように注意することが重要です。
そのひとつが「歯磨き粉」です。犬にとって歯磨きは必要不可欠ですが、人間用の歯磨き粉は犬にとって危険な成分を含んでいることがあります。
特に誤って犬が歯磨き粉を舐めたり飲み込んでしまうと、命に関わる危険性もあるため、日頃から十分な注意が必要です。
本記事では、犬に歯磨き粉が危険な理由、現れる症状、万が一食べてしまった場合の対処法について詳しく解説していきます。
犬が歯磨き粉を食べてはいけない理由とは?
結論から申し上げると、「犬にとって有害なキシリトールが歯磨き粉に含まれているため」です。
キシリトールを摂取すると、犬は大量のインスリンを分泌してしまい、低血糖や急性肝不全を引き起こす可能性があります。
犬によってはごく少量の摂取でもキシリトール中毒に陥り、命に影響を及ぼすケースもあるため非常に注意が必要です。
犬のキシリトール中毒について
犬がキシリトール中毒になった時の症状
犬がキシリトール中毒を起こした際に見られる主な症状は以下のとおりです。
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 沈うつ
- 痙攣発作
- 黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる)
- 低血糖症
- ぐったりしている
- ふらつき
- 尿の色が濃くなる(黄色みが強い)
これらの症状は、摂取後30分〜1時間以内に現れることもあれば、12時間以内に遅れて現れる場合もあります。
犬がキシリトール中毒になった時の応急処置
残念ながら、自宅でできる応急処置は限られています。
症状が見られた場合は、すぐにかかりつけの動物病院を受診するか、獣医師に連絡して指示を仰ぎましょう。
なお、獣医師の指示があった場合に限り、砂糖水やシロップを飲ませることで応急処置を行うこともあります。
ただし、無理に飲ませようとするのは禁物です。すぐに医療機関に連れて行く判断が大切です。
犬がキシリトール中毒にならないための予防法
最も効果的な予防法は、キシリトールを含む製品を犬が誤食できない場所に保管することです。
ロック付きの棚にしまう、犬が立ち入れない部屋に保管するなどの工夫をし、日常生活の中での誤食リスクを徹底的に排除しましょう。
犬がキシリトールを誤飲した際の治療法
吐かせる処置(催吐処置)
誤飲から30分以内であれば、催吐剤を使用して犬に吐かせる処置が行われます。
血糖値の測定と治療
血糖値を測定し、低血糖と判断された場合にはグルコース(ブドウ糖)を投与します。
犬によっては低血糖を起こしやすい体質もあるため、獣医師から事前にアドバイスを受けている場合は、緊急時に備えてブドウ糖タブレットを用意しておきましょう。
※飲ませた場合は、量と時間を必ず獣医師に報告しましょう。
電解質異常や急性肝不全への対応
- 低カリウム血症、低リン酸血症の場合は、それぞれを補う治療が行われます。
- 急性肝不全と診断された場合には、肝臓保護剤や抗酸化剤が投与されます。
キシリトールが含まれる製品【代表5選】
意外にも、私たちの身の回りにはキシリトールが含まれている製品が多く存在します。代表例を紹介します。
飴
虫歯予防のためにキシリトールが含まれていることが多いです。
テーブルの上など、犬が簡単に届く場所に放置しないように注意しましょう。
チョコレート
チョコレートにもキシリトールが含まれる場合があります。
犬にとってチョコレート自体も危険な食品ですので、絶対に近くで食べたり放置したりしないようにしましょう。
人工甘味料(パウダータイプ)
砂糖の代用品として使われる甘味料にもキシリトールが含まれています。
製品ラベルをよく確認し、犬の手が届かないところに保管しましょう。
グミ
甘い香りで犬を惹きつけやすいため、特に注意が必要です。
犬の近くではグミを食べないように心がけましょう。
ラムネ
ラムネにも虫歯予防のためキシリトールが含まれています。
小さくて誤食しやすいため、子供のおやつ管理と同様に、犬にとっても手の届かない場所に置くよう注意しましょう。
まとめ
人間にとっては健康に役立つキシリトールでも、犬にとっては少量でも命に関わる危険な成分です。
私たちの油断ひとつで、犬の健康が脅かされることのないよう、日常生活からキシリトール製品の管理を徹底することが大切です。
「犬に歯磨き粉は危険である」ということを改めて認識し、愛犬を守るために適切な行動を心がけましょう。